Case 1

個人的考察

case-A 最初のクライアント

セラピストとして踏み出すきっかけをくれたAさん。初心者にとって、とても困難、でも多くの勉強をさせてくれたクライアントさんです。多数のセラピー経験を持ち、激しい感情の浄化を求めていて、毎回劇的な過去生をリアルに体験される方でした。

『前世療法』のワイス博士にとってのキャサリン?と今は思えます。しかし、当時は初心者なので、本のようなリアルな体験を毎回されるAさんに振り回されているだけだと感じていました。

ほとんど毎週セッションが行われ、その場ではエネルギーの解放が行われたような感じがするのに、また翌週には同じテーマがくり返される。最初のうちは、わたしも様々なテクニックを試す(申し訳ないですね)ことができてよかったのですが、そのうち『?』と気がつくようになりました。

これは、もしかして全然効いてないのではないか?と。

リアルに体験したり感情やエネルギーを浄化・解放するだけではいけないのではないか?と不安になってきました。 なにしろ半年近くほぼ毎週です。前世療法だけではなくインナーチャイルドセラピーも行い、開かなくてもよかった扉、思い出さなくてもいいようなちいさな傷を拡大してしまったのではないか?とも思いました。

途中何度もAさんには確認をしたのですが、「受けることによって翌日以降、周りの反応が変わっていたり自分自身は前進しているから意味はある」と言われセッションは続行しました。

しかし、わたし自身の不信感、無力感はどんどん大きくなり、同業者の友人セラピストに相談することも増えていきました。色々知恵を出し合いお互いの経験を分かち合いました。みんな最初の頃は大きな壁にぶつかったり悩んだりしながら経験を積んでいくのです。

そして、スーパーヴィジョン(セラピストが自分自身のセラピー状況を担当教官に相談したり心理状況をチェックしてもらう制度)を受けると、「クライアントとの間に境界線ができていないのでは?」とアドバイスされ、「本当のプロになる前には、誰でも陥る可能性がある」と言っていただきホッとしたことを覚えています。

結局、一度休業宣言し手放すことにしました。その間(半年程)は色々なことを考えました。前世療法についてだけでなく様々な本を読んだりセミナーや勉強会に参加したり、紹介者だけのセラピーを時々しながら少しづつ自信を回復していきました。そして準備ができた頃、偶然Aさんと再会し再びセラピーをする巡り合わせになりました。

わたしに必要だったのは、「わたしが治してあげる、なんとかしてあげる」という思いを手放すことでした。彼のテーマはコントロールの問題でした。これも偶然ではなかったのだと思います。

理解して手助けしたいという思いとは裏腹に、これをやったら上手くいく、次はこうなって・・・と勝手にストーリーを描いていた様に思います。相手のことを考えながら、でも、あるべき流れになっていかないことへのいらだちと焦りを感じていたのです。

だから、相手の「なんとかされるものか!」という部分を刺激することになり、わたしに会うことによって「お前のような無能なセラピストにコントロールされないぞ」と無意識で戦っていたのだと思います。よかれと思いながら支配し縛り付けてしまう、母子の関係で起こるパターン。

クライアントとセラピストの間でよく起こる投影というもの。頭では理解していましたがやっとわかりました。クライアント自身の人間関係のパターンに、気がついたらはまっている、誰かの役割を演じている・・・

このことに気がつくことによって治療効果を上げることもあるのです。

わたしの場合は距離を置くことによって理解することができ、再開後は順調に進めることができました。Aさんは両親(特に母親)とのコントロールの問題が大きなテーマでした。その後も多くの場面を体験し、そろそろ一区切りかなと思う頃、急きょ転勤の辞令が出て遠くの場所へと離れることになりました。

最初のセッションから2年。色々ありましたが、今のわたしがあるのも、あの大変だった日々があったからと感謝しています。いつか、できることならその頃の記録をまとめてみたいと思っています。

 

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